弟子日記⑥自然栽培を知る【前編】〜これからの農業に必要な日本人的感覚とは?〜

弟子日記⑥自然栽培を知る【前編】〜これからの農業に必要な日本人的感覚とは?〜

こんにちは。
SEO・広報の小泉です。

すっかり暑い日も終わり、稲刈りが始まる季節となりました。
今日は日本の農業について書きます。

いきなりですが、当たり前を疑うことで新しいことが見えることが多々あります。
農業においての当たり前は、農業は農薬や化学肥料を使うということです。
しかし、本当にその常識が正しいのでしょうか?

・かつては農薬や化学肥料が大活躍した!?
・これからの農業に本当に農薬や化学肥料が必要か?
・日本人的感覚から学ぶ日本らしい農業とは?

【かつては農薬や化学肥料が大活躍した!?】

現在使われている農薬や化学肥料の源流が登場したのは、イギリスの産業革命以降の話です。
日本では明治維新以降の近代化によって農薬や化学肥料が開発されます。
しかし、開発当時はコストの問題から干鰯や牛糞などの動物性肥料を使っていました。
これらの動物性肥料は江戸時代から使われおり、農薬や化学肥料が全国的に普及を果たすのは昭和の初期でした。

ちなみに、昭和初期には植民地であった満州でも使われており、
多くの若者(特に東北などの次男、三男)に農業ドリームを与えました。

その後、第二次世界大戦中の食料増産を実現し、
戦後の食料不足や高度経済成長の中で日本農業を支えたのも農薬や化学肥料でした。
今日の豊かな日本があるのは、農薬や化学肥料のおかげです。

毎週土曜日に那須塩原で行われている無農薬無肥料のマルシェ「下ノ畑、上ノ田ンボ

【これからの農業に本当に農薬や化学肥料が必要か?】

時代の流れにおいて、農薬や化学肥料は必要でした。
しかし、これからの農業に本当に農薬や化学肥料が必要なのでしょうか?

私は必要ではないと思っています。
なぜなら、農薬や化学肥料を大量に使う時代はもう終わったからです。

確かに戦後は食料不足でお米も野菜も大量生産を目指すことが必要でした。
しかし1970年以降、お米は供給過剰になるし、今では人口も減少しています。
巷では、耕作放棄地と呼ばれる、栽培していない田んぼや畑が埼玉県ほどの面積にのぼると言われています。
そして、環境にも大きな影響を与え、何より私たちの体にも危険な影響を与えています。

有名なレイチェルカーソンの「沈黙の春」には農薬の危険性に関して述べられています。
また1950年代にはホウレンソウの離乳食を食べた赤ちゃんの顔が真っ青になり、
亡くなるということ(ブルーベイビー症候群)がアメリカで問題となりました。
これは、化学肥料を与えすぎたホウレンソウに含まれていた有害な窒素が影響しており、
現在にも多くの地下水に混入していると問題になっています。

私たちが目指してきた豊かさは、「過ごしやすい環境」や「健康的な人生」ではないのでしょうか。
環境破壊や病気を増やそうとすることではなかったはずです。

レイチェル・カーソン

【日本人的感覚から学ぶ日本らしい農業とは?】

農薬と化学肥料の問題に対し、どちらも使わないと考えた人たちがいます。
そして生まれたのが、無農薬・無肥料の栽培です。
この栽培を私は自然栽培と呼ぶことが多いですが、
その他にも自然農と呼ばれたり、自然農法と呼ばれたりしています。

※自然栽培、自然農、自然農法は厳密には異なる点もありますが、以下自然栽培と呼ぶ。
※通常、化学肥料は使わない代わりに有機肥料を使うのを有機栽培と呼びますが、
自然栽培はそれらも一切使わない栽培方法です。(有機肥料=糠や堆肥、動物性の糞など)

この自然栽培は、生態環境の多様性を尊重し、農薬や肥料に頼ることなく、
土や作物がもつ力を最大限引き出そうとするものです。
したがって、土壌微生物を活かしたり、作物の原産地に近い環境を作り出したりします。

この自然栽培は多様性を認める日本人的感覚があったからこそ生まれたと考えています。
唯一無二の画一的な栽培方法ではなく、土地や気候などの環境によってその土地にあった野菜ができます。
そこには環境や農作物の土地土地の違いに加え、
目に見えない土壌の世界での人間を遥かに超える数の微生物の多様性があります。
また、農薬や肥料という直接作物に影響を与える物を何も使わないという感覚は、
無に対する美の感覚を持つ日本人ならではの発想ではないかと思います。

那須塩原で行われた「みますや」のマルシェにて

【最後に】

いかがでしたか?
日本人的感覚が生かされるのは農業だけではないと思っています。
しかし、日本人だけがこの感覚を理解できる日はもう終わるでしょう。
日本人が築いてきた文化、かつての日本人の感覚を理解する外国人も増えています。
また多様性に対し、今の日本人は失いつつある面もあるのではないでしょうか?
多様性を認め、あらゆる場面で日本の文化を理解し、生かしていきたい。

次回は、神社・お寺×自然栽培について書きます。